ボーカルレコーディング:よい音で録るために

  • スタジオで本格的なボーカルのレコーディングをするとき、自分の録音方法は適切だろうか?
  • 本当に良い音で録音できているのか?

そんな疑問を持った方のために、この記事ではボーカルレコーディングの適切な手順と方法を解説しています。

この記事を書いている私は、レコーディング・ミキシングのプロとして15年以上勤めています。

Twitter:@nwrecording

本記事の内容

  1. マイキング
  2. コンプレッサーの設定
  3. オケ(バックミュージック)の音量設定
  4. リバーブの設定
  5. クリックとガイドメロディーの用意

ボーカルのレコーディングはポップミュージックで一番多く行われているレコーディングの種類であり、またもっとも難しいレコーディング作業と言えるでしょう。 

ボーカルをよい音で録ることができればあとに控えるエディットやミキシング作業をスムーズかつクリエイティブに行うことができるようになります。 

マイキング

まず下記の画像をご覧ください。

ボーカルマイキングの図

レコーディングのスタートポイントとして、図の方法でセッティングしてみてください。

近代のポップミュージックの歌の距離感はとてもリスナーに近く、近い音を録るためには文字どうりマイクをシンガーに近づける必要があります。ただここで大事なのはマイクには近接効果(*) 

というものがあり、過度に近づけすぎると近接効果によりボーカルをこもらせてしまう可能性があります。 

Aメロなどのメロディーの音程が低いところから、サビなどの高いところまでボーカルの音が近くクリアにこもらないようにセッティングしましょう。 

(*近接効果とは簡単に言うと音源がマイクに近づけは近づくほど低音域が強調されるという現象です。これはマイクの指向性が関係しているのですが詳しい説明は別途記事で解説予定です。)

プリアンプのゲイン

マイクをセッティングしたらプリアンプにマイクを繋げましょう。

マイクに届いた生の声をプリアンプで増幅してPCに取り込む必要があるわけですね。

プリアンプの難しい説明は省くとして、もしあなたのプリアンプに数字が書いてある場合は大体 25~30dB くらいにセッティングすると適切な音量でスタートできるでしょう。 

25~30 を基本にして声が小さい人、大きい人とでセッティングを変えてみてください。 

(私の経験では多くのシンガーが大体15~40dBくらいに収まると思います。) 

プリアンプはマイクに比べると微差ですが個体によって音が変わります。

あなたが初心者ならまずは気にしなくてもよいポイントです。

私が気になるのは特性をよく理解していないのに真空管プリアンプなどを使っている場合です。

逆に歪みを加えてしまって音を悪くしている場合が多いので最初はなるべくクリアなものを使うのをお勧めします。

ゲインを上げるとDAWに音が来ると思うのですが、一番歌の大きいところでピークレベル-8dBくらいに設定するとよいです。

コンプレッサーの設定

ボーカルレコーディングにおいてコンプレッサーは歌の音量差をなくすための道具です。

昔からエンジニアはハードウェアのコンプレッサーを使ってきましたが、DAWの中にあるもので問題はありません。

ポップミュージックの歌のダイナミックレンジ(音量差)は楽器よりも大きいことが多く、楽器の音量差の枠に歌を収めるためにつかいます。

ただあまりコンプがかかると歌い手によってはどんなに声を張っても音が大きくならなく、不自然差を感じてしまうので、サビなどの音量が大きいところでコンプがかかるくらいがよいですね。

オケ(バックミュージック・楽器)の音量設定

クリアでよい音で録るにはバランスのよいオケ(バックミュージック)が必要です。

仮に歌をよい音で録れていてもオケのバランスが悪ければ歌が埋もれてしまってり、シンガーが自分の声が聞き取りずらく必要以上に力んだりして結果録り音を悪くしてしまいます。

男性シンガーであれば150hz-15khz 女性シンガーであれば200hz-15khzあたりが歌の帯域です。低音以外の全帯域ですね(笑) 。

ここはレコーディングエンジニアの腕の見せ所ではあるのですが、まずは200hzあたりのローミッドから4Kあたりのハイミッドで歌よりも出ている楽器がないようにしましょう。

10khzあたりの高音域はハイハットなどの高音楽器と同じくらいのボリュームでもよいかもしれません。

歌のレベルを-8dBに設定した場合、バックグラウンドミュージックはドラムのピークが-8dBくらいに設定するとよいでしょう。

ボーカルとオケのバランスを視覚的に表した図

リバーブの設定

曲にあったリバーブをつけてあげてシンガーが歌いやすくしてあげましょう。

リバーブの説明は奥深いのでまた次の機会にさせていただきます。

クリックとガイドメロディーの用意

曲の中にブレイクなどがあり、テンポがとりにくい場合がありますのでクリックを用意してあげます。

できたらシンセなどでつくったガイドメロディーがあるとシンガーは音程を把握しやすいです。

今回は以上になります。
ここまで読んでいただきありがとうございました!

この記事が皆さんのお役に立てば幸いです