筆者の使うコンプレッサープラグイン紹介【1】

今回は筆者の使うコンプレッサープラグインを紹介します。


コンプレッサーは音を小さくする。という目的の機械ですがアタックタイムやリリースタイム、
コンプレッサーを通すだけ、もしくはリダクションの時に特定の帯域に歪みを加えるものなど、個体によって様々です。

アナログモデリング系のプラグインは実機の歪み感などの100%再現を目指している機種が多いですが
やはり微妙に実機とは違います。しかしそれがプラグインの個性を生んでいる面であり、
必ずしもアナログがデジタルに優っているわけではありません。

色々なコンプレッサーを目的によって使い分けれるとベストですね。
今回は2つのコンプレッサーをご紹介します。

この記事はエンジニアの渡辺紀明が書いております。 私のプロフィールは以下をごらんください。

NT Mixers Engineer (渡辺紀明)

WAVES CLA_2A

CLA-2A

アメリカのメーカーTeletronixの LA-2Aをシュミレートしたコンプレッサープラグインです。
実機の登場は1962年。元はラジオ局での使用を想定したものですが、すぐにレコーディング現場からも人気が出たそうです。


ラジオって電波で劣化した音を車の性能のよくないスピーカーから小さい音で聴いたりしますよね。
人が喋るダイナミクスレンジはとても広く、リスナーが聞き取りやすくするにはコンプレッサーは必須の機械でした。


もともとラジオ用だけあって、若干遅めのリリースタイムが特徴でこのコンプレッサーの音色を決めている重要な要素です。これだけリリースが遅いと一度コンプがかかると、仮に次の音がスレッショルドを超えていなくてもコンプレッサーがかかる可能性大です。ずっとコンプレッサーがかかっていくことになりますね。


またアタックタイムも速くはないので瞬間的な短いピークを抑えるのは不可能です。
ですので一定の音量をキープしたいナレーションなどに最適というわけです。

このプラグインには右下にサイドチェインフィルターがついていて左に振り切れば低音にコンプレッサーがかかりにくくなります。
ドラムなどでキックにコンプがひっかかりにくくできます。

また左の大きいノブ”Gain”はアウトプットレベルの調整に用います。
インプットのGainではないので注意です。

左のCOMPRESS – LIMITのスイッチではレシオ値を切り替えれます。

  • コンプレッサーモードだとレシオ3:1
  • リミッターモードだとレシオ 100:1です。

このコンプレッサーを音楽で使う場合、リミッターモードで使うよりコンプレッサーモードで使うのが定番と言えるでしょう。

右の大きなノブはコンプレッションの量を決めるノブですが、このノブは実機も含めリニアではないので注意が必要です。
右の回すと思ったよりコンプレッションがかかったりするかもしれません。
筆者はだいたい30から50のあたりで使うとよいと思っています。

またこのプラグインはインサートした段階でレベルが大きくなってしまいますので、注意してください。
コンプレッションはかけただけで音がよくなる機械ではありません。

WAVES CLA-2A

WAVES CLA-76

CLA-76 Black

元は1967年に登場したコンプレッサーで最速20msのアタックタイムをもっていました。当時としては超高速です。リリースタイムも高速にすることができて、アタック、リリースを使って多様なセッティングが可能です。

日本のレコーディングスタジオには歌録りの超定番機種としてよくスタジオにおいてありますね。
私もアナログの実機はよくミックスで使いましたが、SNが悪いものが多く通すだけでうっすらノイズが乗ってしまうので、
ここ10年くらいつかっていません(笑)ただこのプラグインはノイズがないので好きですね。

このプラグインは実機と一緒でアタックとリリースが普通のコンプレッサーとは逆になっているので注意が必要です。
1が最遅 7が最速 になっています。

ちなみにアタックタイムを最速にしてもあくまでアナログコンプレッサーのモデリングでデジタルコンプレッサーよりは速くないため瞬間的なピークをキャッチするのは不可能です。

Ratioの選択は4つありますが、ここも少しトリッキーな部分がありまして、レシオ4:1だとスレッショルドが-18dBなんですが、例えばレシオを20:1にすると-12dBになります。

つまりレシオ4:1だとコンプレッションがかかっていたサウンドがレシオ20:1だとコンプレッションがかからなくなったりすることがあるという事ですね。

主流な使い方としてはレシオ4:1で広く浅くコンプレッションをかけ、レシオ20:1でリミッター的に一定の音だけコンプレッションをかけるやり方がありますね。

またアナログでできた全てのレシオボタンをオンにする”レシオ全押し”モードを再現したものが レシオ4の下にあるAllボタンです。ドラムなどを激しくコンプレッションする時によく使います。また以前記事に書いた”パラレルコンプレッション”の時にもよく使う技ですね。

1176は長い歴史のあるコンプレッサーで外観が黒色のものとシルバーのものがあります。
CLA-76は BlueとBLACKYでその2種類を変化させれます。

CLA-76 Silver

アタックやリリース、コンプレッション時にかかる歪みなどの特性が変化しますので面白いです。筆者は基本黒しか使いませんが、たまに中低域を太く出したいときに白にしますね。


白の方がすこしモコっとしている印象がありますね。

またこのプラグインもインサートした段階でレベルがすこし大きくなってしまうのが残念ですね。(笑)

WAVES CLA-76

以上、今回は2つのコンプレッサーをご紹介しました。まだまだ多くのコンプレッサーを使い分けていますので次の機会にご紹介したいと思います!